日本国内におけるAT技術は毎年目覚しい発展を遂げています。
新しいATの技術に対応して、当然ATFにも新しい特性がもとめられてきます。
最近の技術としてはスリップ制御トルクコンバーターの採用です。
これは地球環境、資源問題に対応してATをより低燃費化する技術で、従来のATが振動などの問題から高速しかロックアップできなかったのに対して、摩擦 材を滑らせながら用いることにより、より低速までのロックアップを可能にしたものですが、摩擦材を滑らした時に自励振動に起因するジャダと呼ばれる振動を 防止する特性をATFに要求しており、スリップ制御適用時不可欠な特性です。
また、小型軽量化に必要な伝達トルク容量の確保も求められています。伝達トルク容量に付いては、ジャダ防止制とトレードオフの関係があるため、両者の両立 が大きな技術課題となっています。ソレノイドの応答性や電子制御の安定性にかかわる低温流動性、せん断安定性、さらにATの耐久性向上から酸化安定性の向 上や磨耗防止性の確保が重要となっています。
これらの要求を満たすために、ATFに用いられる耐磨耗剤も最新式の添加剤に変わりつつあり、Zn系ではあまり問題にならなかったゴムや樹脂などとの適合 性も重要になってきています。このようにATの最新式な技術進歩に伴ってATFへも新しい特性が求められています。
DEXRONIII MERCON規格のATFでは、国産ATの要求性能を満たすことが非常に困難であり、様々な問題が発生しています。
その一つの表れとして DEXRONIIIに新たに加わった試験“H”コード、これは省燃費を目的に採用された「電子制御ロックアップシステム」に対応させた規格で、F-ATFはその規格にパスしました。
このように従来のATFを飛躍的に向上させ、最新式な国産ATの要求性能を満たし、その特性をフルに発揮できる商品を開発することを目指しました。
そして出来たのが寒冷地での発進性に優れ、摩擦特性と潤滑性を高いレベルでクリアしたATFです。最新のオートマチック機構、スリップ制御ロック・アップに適合するATFです。
優れた摩擦特性と安全性によって良好なシフトフィーリングを実現。低音時における粘度特性がよく、幅広い温度領域で快適なドライバビリティを発揮するAT専用オイルとなりました。 5速までのATミッションに使用可能です。純正よりも膨張率も少なく、食いつきが良くなります。
テストレポート
テスト項目 | DEXON III | FUTURE ATF |
サイクリング試験 | 20,000サイクル | 32,000サイクル |
プレートフリクション試験 | 100hr | 150hr |
酸化安定試験(THOT) | 300hr | 450hr |
耐摩耗試験 | 15mg | 10mg |
放気性試験 | - | 報告 |
低速摩耗試験 | - | 報告 |
ゴムシール試験10種類 | 5 | 10 |